原石と化け物。

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08.大きな犬に懐かれました


ダムダム…

バスケ部にて青峰と1on1中


『アホ峰、それでも1軍なの?』

「テメェが強ぇってわけでもねーだろ」

『よく言うよ、この状況で。どっちが勝ってるかなんて一目瞭然でしょーが。』

「だから強ぇってわけでもねーだろ」

『バスケは点数で勝ち負けを決めるのよ。スキルなんて関係ないの。まぁ、強がりなんて出来ないくらいに片付けてあげる』


――――……

『っはぁー疲れたー』


「莉卯!お疲れ!」

疲れ切った身体で休んでいれば、ドリンクとタオルを持ったさっちゃんが寄ってきた

『あ、ありがと』

「でもすごいよー!大ちゃんのフリープレイに対してこんなにこてんぱんにやっつけちゃうなんて!」

『青峰のプレイってあたしのプレイにそっくりなんだよね。だから、先読みが可能なの。でも、特別な力とかあるわけじゃないんだし、青峰も練習すれば強くなるよ。素材は十分なんだしさ』

「そうだね。」

『心配するだけ無駄だよ、青峰の場合』

「別に大ちゃんの心配したわけじゃないもん。莉卯、女の子なのにこんなに走り回って傷とかつけないでよ?」

『はいはい。大丈夫だって。それに』

「ん?」

『1on1は、あたしがやりたくてやってることだから。ていうか、あのギャラリー何』

1on1の時は集中してたから分かんなかったけど、体育館には沢山の女の子のギャラリーが。しかも黄色い声付き


『うっさいんだけど、練習の邪魔。誰だよ、ここまで引き連れて来たの』


「きーちゃんだよ、絶対」


『きーちゃん?誰?それ』


「黄瀬涼太って知らない?結構有名だけど。モデルやってるっていう…」


『あ!』


「どーしたの?莉卯」


『あたし、前会ったことあるかも』


「どーだった?かっこよかった?」


『顔だけが先へ行ってるような色々と残念なイケメンだよね。知らない人にまで自分の存在押し付けてくるし、あたしは嫌いかなー』


「きーちゃん嫌いな女の子って初めて見た!」


『そーなの?皆、顔に釣られすぎでしょ。にしても、うるさいよ。マジで。追い出しちゃダメかな』


「うーん、どうだろ。後が怖い気もするけど…」


『でもなぁ、黄瀬のファンに恨まれてもなぁ…自分たちが騒いでるのがいけないんだし、仕方なくね?』


「それもそうだよね…」


「ちわーッス」


「あ、きーちゃん!」


さっちゃんと黄瀬ファンを黙らせよう会を開いていると騒がせてる本人が来た

軽く横目で睨んでみると何スか?と爽やかに答えてくる

お前、マジムカつくわ

『あのギャラリー黙らせて。五月蝿くて練習になんない。』


「女バスはこっちじゃないッスよ?」


『女バスじゃねーし。あたし、1軍のマネージャーですけど。ただ青峰と1on1してたから、この格好なだけ。いいから、黙らせてよ。アイツら』


五月蝿くてイライラし始めてんのに、コイツの顔見たらもっと腹立ってきた

「青峰っちと1on1?どっちが勝ったんスか?ま、聞かなくても分かるか…」


『ハァ?何、お前。あたしが青峰に負けたと思ってんの?マジ、ウザ…。言っとくけど今日の1on1の言いだしっぺは青峰だかんね。あたしがあんな奴に負けるわけねーだろ、バーカ』

黄瀬に対する反論だとしても青峰には十分すぎるほど失礼だ

ぺしん

「言い過ぎだ、チビ」

結果的に頭を叩かれた


『何すんだ、ガングロ』


「今日はあれだ、調子悪かっただけだ」


『嘘つけ、今まであたしに勝ったことなんてねーぞ。ね?さっちゃん』


「うん!大ちゃん、いっつもこてんぱんにやられちゃうもん!」


『ホラ見ろ。おい、そこの金髪。ホザく暇あったら、ギャラリー黙らせろ。マジムカつく。トイレ行ってくるからそれまでに頼むよ』


「何?うんこ?」


『ストレート過ぎんだよこのアホ!クソ峰!ホント失礼。』


「ほんとだよ!大ちゃん、サイテー!女の子に向かって何てこと言うのよ!莉卯、私も行く!」


「青峰っち…それはナイっスわー。えーと、高梨さんでいいんスよね?」


『あーうん。』


「俺と1on1してくれたら、ファンたちを黙らせてあげてもいいッスよ?」


『青峰、コイツ強い?』


「んー俺よりは、よえー」


『青峰より弱いってことはアンタが負けるっていう結果が見えてるけど…それでもやる?私、手加減とか嫌いだから本気でやるけど。どーする?』


「もちろん、やるッス。だから、ちゃちゃっとトイレ行ってきちゃって。」


『はいよ。私との1on1は、ファンには見せない方がいいかも。私、黄瀬ファンに恨まれたくないし。よし、行こ。さっちゃん』


「うん!」


――――……

『よーし。さっちゃん、審判よろしく!』


「うん!任せて!」


『んーじゃあ、先攻どーぞ?これは手加減じゃないから。優しさだから。』


「優しさ、ね。」


『さ、どーぞ?ジャンプボールせずに行っていいんだよ?』


「ナメられてるみたいで、嫌ッスね」


『みたい…じゃなくてナメてんの。粋がってる奴は大抵弱いの知ってるから』


「そんな常識覆してやるッスよっ!と」


ふーん、駆け出しはいい感じ

青峰のプレイの真似?

さてと、動きますか

様子を見ながら黄瀬に近付く


速いかと思ってたけど遅いね


『遅い』


黄瀬が持っているボールをドリブルの要領で奪い、そのままゴールに投げ込む

ロングシュートはそのままネットをくぐり抜けた


『よっし。』


―――……

そんなこんなで試合が終了

結果は当然あたしの勝ち

『どう?黙らせる気になった?』


「つ、」


『?』


「強ぇッス!!俺、莉卯っちみたいになりたいッス」


『は?』


「俺、ボロボロに負けたけど、青峰っちへの憧れより莉卯っちの憧れの方が強いんス!」


『あ、そう。』


「じゃあ、黙らせて来るッスね!」


タタタタタ…と駆けていく黄色くん


『何だあれ?黄瀬ってあんななの?いつもキモいくらい気取ってんのに』


「きーちゃんはね、あれが素だよ!」


『マジで?!』


「体育館から出て行って貰ったッスー!」


何分かして、こう言いながら黄色が帰ってきた


大型犬に懐かれたようです


(てか、何でいつの間にか名前で呼ばれてんの?)
(駄目ッスか?)
(うん)
(えぇー!!)
(嘘だよ、本気にすんなよ。うぜぇ)
(酷いッス!莉卯っちー!!)
(重い、邪魔、どっか行け)

20140116

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