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□murmur_mummer.01
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 次の日。

 家の側で薪を割る。
 山の程割る。
 ある程度割り終え、それを束にする。
「こんなもんで良いか…………否、もうちょっと要るか……」
 また、山の程割る。
 束にして、一遍(いっぺん)に置き場に置く。
「さぁて、お昼にしよう。」
 家の方に向いた瞬間、昨日の銀髪がそこに居た。
「ぎゃっ!」
 すぐさま飛び退き、体勢を整える。
「段々と身を躱(かわ)すのに馴れて来た……。」
 銀髪はニコニコ笑っている。
「笑ってんじゃねぇよ!」
 薪を割った時に出る切れ端を銀髪に投げる。
 銀髪は唇を尖らせ、切れ端を軽く避ける。
「何だよその身のこなしっ!」
 何個投げても当たらない。
「……なんで、当たんねぇんだよ!」
 避ける度に近付いて来る。
 目の前に来た銀髪。
 切れ端を握った手を掴む。
「何だよ!離せよっ!」
 掴む力が強まる。骨がミシ……と音を立てた感覚。
「いたぁっ!」
 思わず悲鳴に似た声を上げた。
 銀髪は吃驚して手を離す。
「何すんだよっ!薪持てなくなったらどうしてくれんだよっ!」
 胸先で怒鳴りつける。
「全く、おれの倍の態(なり)してる癖に……」
 悄気(しょげ)たように銀髪が身を縮こまらせる。
「そもそも、何で此処が解ったんだよ!」
 唇をギュッと真一文字に堅く閉ざす。
「…………後付けて来たんだろ?」
 ゆっくり頷く。
「何だよ……何で付いて来んだよ……興味でも在んのか?」
 かなり頷く。
「興味が在るって……面倒くせぇ……」
 俯き、掴まれた手首を回す。かなりの痛みを伴う。
「っ……くっ、」
 申し訳無さそうに手を伸ばす。
「良いよ!」
 透かさず、自分の方に腕を引っ込める。
「……っ!もう、昼にする!」
 家に向かって歩く。
 銀髪も付いて来る。
 何も言わずに振り返り、睨み付ける。
 その姿を見て、銀髪はまた悄気る。
「あぁ、あぁ!もう解ったっての!その代わり、飯、よそってくれよな!」
 家の戸を開けた。



和×ゴス×キセカエ

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