オリジナル
□murmur_mummer.05
1ページ/5ページ
梅雨。
次の日は大雨で、「中々、外に出られたもんでねぇ!」と、不機嫌なねぇちゃんは白百合の毛を強引に梳く。
白百合は、そんなねぇちゃんを宥めるように静かに頷く。
戸を開けてある土間から、外を見る。
雨粒が大きいらしい。跳ね返りが白い煙のように立ち上ぼり、遠くの景色を霞ませる。
畑に作った畝は大丈夫だろうか……
柔らかかった土は、流れていってしまったんじゃないだろうか……
雨粒が何個も地面に叩き付けられると、それは轟音を響かせる。
滝の側にでも居るのだろうかと思ってしまう程だ。
何時も歩く、畑へと続く畦道は既に川になっている。
じぃちゃんが自分の隣りに立つと空を見上げ、「暫くは止まねぇなぁ……」と眉間に皺を寄せる。
足に雨粒が当ると体温を奪うのか、段々と冷えてきた。
夏冷え。
寒い。
寒いのなら土間から離れたら良いと、自分でもそう思う。
銀色は震える自分にくっついて離れない。
さっきまで、ばぁちゃんの手伝いをしていた銀色。糠(ぬか)の臭いが纏わりついている。
腕にしがみつくと、コイツは中々離れない。
長い銀髪も纏わりつく。
あー……と、少し嫌な予感が過ぎる。
予感が的中の印か、銀色が若干困り始めている。
「……コレ、絡まってねぇか?」
銀色が困り顔で頷く。
湿気を吸った銀髪の髪は、言う事を訊かなさそうだ。
「うぁっ……ねぇちゃーん!」
銀色と団子のようになって、厩へと向かった。
ラッセン★癒しの惑星
イルカ達のキラキラFlash