オリジナル


□murmur_mummer.05
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 梅雨。


 次の日は大雨で、「中々、外に出られたもんでねぇ!」と、不機嫌なねぇちゃんは白百合の毛を強引に梳く。
 白百合は、そんなねぇちゃんを宥めるように静かに頷く。
 戸を開けてある土間から、外を見る。
 雨粒が大きいらしい。跳ね返りが白い煙のように立ち上ぼり、遠くの景色を霞ませる。
 畑に作った畝は大丈夫だろうか……
 柔らかかった土は、流れていってしまったんじゃないだろうか……
 雨粒が何個も地面に叩き付けられると、それは轟音を響かせる。
 滝の側にでも居るのだろうかと思ってしまう程だ。
 何時も歩く、畑へと続く畦道は既に川になっている。
 じぃちゃんが自分の隣りに立つと空を見上げ、「暫くは止まねぇなぁ……」と眉間に皺を寄せる。
 足に雨粒が当ると体温を奪うのか、段々と冷えてきた。


 夏冷え。


 寒い。
 寒いのなら土間から離れたら良いと、自分でもそう思う。
 銀色は震える自分にくっついて離れない。
 さっきまで、ばぁちゃんの手伝いをしていた銀色。糠(ぬか)の臭いが纏わりついている。
 腕にしがみつくと、コイツは中々離れない。
 長い銀髪も纏わりつく。
 あー……と、少し嫌な予感が過ぎる。
 予感が的中の印か、銀色が若干困り始めている。
「……コレ、絡まってねぇか?」
 銀色が困り顔で頷く。
 湿気を吸った銀髪の髪は、言う事を訊かなさそうだ。
「うぁっ……ねぇちゃーん!」
 銀色と団子のようになって、厩へと向かった。
 
 
 


ラッセン★癒しの惑星
イルカ達のキラキラFlash

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