series story

□はなことば
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『あそぼ』


次の日、
早速グイディーちゃんは遊びに来た。
リリカも一緒だ。

皆で一緒に船でご飯を食べたり
ゲームをして遊んだり
街に出向いてお出かけをした。


『ここ!』
「ん〜〜〜正解は〜〜〜?」
「どっちかなあ?」
「大正解だぜ!!スーパーーーー!!!」
『やった、グイディーちゃんまた正解』


フランキーに遊んでもらい
二人ともとっても嬉しそう。
お人形もしてもらう。


「おう、おやつだぞ。食え」
「わあ!!すごーい!サンジお兄ちゃんは本当に料理が上手だね!」
『これなあに』
「これはこの島のマンゴーを使ったムースだ。好きなだけ食え!」
『グイディーちゃんムースはじめてたべるよ』
「そうか、美味すぎて失神するなよ?」
『おいしい!』
「ほんとだー!!すっごく美味しい!」



それはとても優しくて、
あたたかい時間。
幸せに包まれた安らかなひと時。


グイディーちゃんは
相変わらず薬を飲み続けている。

父親の話によれば
グイディーちゃんもいずれ
母親と同様、力の制御と
均衡を保つ力が衰えて、
早死する可能性があるらしく

小さなうちから
身体を制御させるようの
薬らしいのだ。

それを聞いて、チョッパーも
やっと納得したようだ。


『…お兄ちゃん、へんなにおいする』
「あァ?」
「……ゾロ、あんた最後に風呂入ったのいつよ」
「あー確か…」
「グイディー、リリカ、こっちいらっしゃい」
「『はーい』」


ゾロに摘んだ花をあげようと
近寄ったらまあキツい香りがするわけで
ナミは冷たい視線をむけて
ルフィはそれを見て爆笑していた。

それにつられて
グイディーちゃんたちも笑う。


「グイディーちゃん、この花綺麗だね!」
『うん、あのねえグイディーちゃんこのお花がすきなの』
「そう、これはアンモビウム」
『あんもびうむ?』
「ええ。夏の始めに咲く、美しい花よ」


ロビンはお花に詳しい。
夏島に咲く花は夏花が多くて
爽やかな色で彩るのだ。

花になりたいと告げたグイディーちやんは
大変愛おしそうに花を撫でる。
リリカはあまり花に興味がなかったのか
見様見真似で同じ様に
花を優しく撫でていた。


「花にはそれぞれ、花言葉があるのよ」
『花言葉?』
「なぁにそれ?」

「その花に込められた、想いを言葉に表しているの」
「へえー!」
「赤い薔薇には“情熱”、向日葵は“憧れ”」
「あ!ひまわりってグイディーちゃん家の庭に咲いてるよね!」
『うん、いっぱいあるよ』


花に込められた、人の想い。
グイディーちゃんはとても
面白そうにロビンの話を聞いた。
ロビンと繋いだ手は、強く優しく握られる。


『じゃあ、このあんもびうむは?』
「これは確か………、」


様々な想いと、
それを受け入れる人の心。


「“永遠の悲しみ”」
『そうなんだ』
「でもね、もうひとつあるのよ」
「そうなの!?」
『二つもあるんだ!』
「もうひとつは、」


不変の誓い。


号令を唱えて、
悲しみが故に捧げられた誓いの花。

グイディーちゃんは
それを聞いてもなお、
穏やかな顔で花弁を触る。









お花畑から離れて
今度はリリカと2人で
グイディーの家に遊びに行くらしい。



「グイディーちゃんち行ってくる!」
「はいはい、行ってらっしゃい」
『ねーねー、お兄ちゃん達は、いつこの島から出てっちゃうの?』
「三日後よ」
『そっかあ…』
「でも、いつかまた会えるからそんな顔しないで!」
「そうだ!またこの島に必ず行くよ!」
『ほんと?』
「おう!」

『じゃあ、約束!』


絡み合う指と指。
でも大丈夫!
まだ3日もあるから
それまでいっぱい遊ぼうね、と。


『じゃあいってくるね』
「いこ!グイディーちゃん!」
『うん!』



ようやく出来た女の子の友達に
グイディーちゃんは嬉しそうだった。

2人で手を繋いで走っていく背中は
とても輝いていた。

振り返り様に見える
グイディーちゃんの横顔は
とても可愛くて年相応な笑顔だった。



グイディーちゃんのおとうさんが
グイディーちゃんにしっかりと
お母さんのことを説明出来たのかは
まだ分からないけど

あれからグイディーちゃんは
一度もお母さんの事について
話をしてこない。

そして何より、
ちゃんと最後は自分の家に
帰るようになったのだ。


それだけでも
十分な進歩。

ゆっくり、ゆっくり
成長していけたらいいね、と
ルフィ達は思いを込めた。

まるで
花言葉のように。







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