series story

□緑が光源
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『お味は如何?』
「最高にあっまくて美味ぇな!」


俺の両手には美味たる果実。
空腹を訴える俺の腹をみてグイディーが連れてってくれた場所に行くと、見たこともない果物の木。




この森は実に不思議だ。


どうやら島全部が森に覆われており、大きな木々の葉が陽の光を遮り
優しい日差しだけが暖かく差し込む。

危険な虫や尖った石など何もない為、この通り素足で歩いても俺の足の裏に触れるのは柔らかな草や棘の一切無い木の根っこ部分。



「俺はどうしてここに?」
『2日ほど前に、あなたは此処に流されてきたのよ!』


俺の記憶との辻褄が合った。
グイディーが島の影に打ち上げられてる俺を見つけてくれたらしい。


『“森”達がね、教えてくれたのよ』




不思議な森だと感じたが、
もっと不思議なのはグイディーだ。

少女と言うよりは、子供に近い印象で
長ったらしい髪をずるずる引きずりながら歩いてる。
そして何より、彼女は“森”と会話が出来ると言うのだ。



「俺の傷が治ってるのは何故だ?」


するとグイディーは、果物でベタベタになった俺の手を引いて、さっきの泉の前に来た。



『この泉にはね、治癒の力が宿ってるの』
「俺が浸かってたこれがか?」
『みてて』


するとグイディーはおもむろに、自分の腕を噛んだ。


「おいおい、」
『ふふ』


じんわりと滲み出る歯型から赤い鮮血が腕を伝る。
その腕をゆっくりと泉に浸ける。


「!」
『小さな傷は、すぐに治ってしまうのよ』


水に濡れた彼女の腕には、先程まで確かにあった歯型がどこにも無かった。



「すげぇ…」
『あなたのお腹の大きな傷は、治すまでに時間がかかっていたわ』



にわかには信じ難いが、
俺はグイディーに救われたと言うのは
紛れもない事実の様だ。







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