笑う少女
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ザジは泣きながら、その美しい緑の島を歩く。
歩くペースは遅く、我慢が出来ず泣きながら歩くその姿に、道行く誰もが振り替える。
キッドの前で泣かないために、今のうちにしっかり流すのだ。
もう迷惑かけないと決めた。
二度と足手まといにならないと誓った。
悔やんで、耐えきれず溢れ出てくる大粒の涙。胃袋内に刺さっている、針のせいで痛くて泣くこともままならないのに。
『……ふっ、…、ぅっ』
キッドが居ると言われた酒場まで行くのに随分と遠く感じる。どうして前に進めないのか、どうして辿り着くことが出来ないのか。
助けを求めたい。
でもそれで、そのせいでまたキッドに迷惑かけて、今度こそ嫌がられたらどうしよう。
また船から降ろされてしまったらどうしよう。
やっとまた、一緒に居ることができるのに。
胃の中にある小型爆弾の盗聴器のせいで何も言うことが出来ない。
ただ重すぎる足取りでキッドの所へと目指すのだった。
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