笑う少女

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森の中で固まっていた2人。

暫くお互い見えぬ顔を見つめあう。
だが突然、娘が足元に埋まっている大きな岩を素手で引っこ抜く。

「……っ!馬鹿力かお前は!」

引っこ抜いた大岩を、予想通りキラーめがけて投げた。華麗にジャンプしそれを交わすと、次に娘が持ち上げたのは先ほどまで自分が引きずっていた、あと大木だった。
キラーの身体の何百倍ものある、大きな大きな丸太。

真上を見上げれば、もうすでに大きな木が降ってきたので、舌打ちをしながら武器で切り刻む。

彼女のキラーに対する敵意は凄まじく、止まることはない。
一方的に、木や岩などを持ち上げてはキラーに向けて投げていた。
それでもキラーは避けるだけで、娘に攻撃はしなかった。

「……埒があかない」

キラーはぽそりと呟いて、娘に目掛けて走り出した。そして刃物を突き立てて襲い掛かろうとした瞬間だった。

「……!」

自分の真横の茂みから、チカリと何かが光ったのが見えた。その光ったものが何なのかわかった瞬間キラーはハッとして大声をあげる。

「やめろ!」

たがキラーの忠告は遅かった。何mか離れた場所から、バズーカの様なものから砲撃音。
標的はキラーではなく、娘。



砲撃した者は同じクルーだった。

キラーが怪しい娘を尾けていることを知り、サポートする為についてきたのだ。
勿論キラーにはクルーがこっそりと着いてきていることは気がついていた。だが指示なしに攻撃するとなど想定外だった。


「!!」
「当たった!」

鮮やかな音をたて、発砲した大きな弾が、娘の頭に命中した。

被っていた仮面が宙で粉々になり、娘の頭、顔、長い髪が露になった。それと同時に娘は地面に倒れ、そのまま動かなかった。

「キラーさん!大丈夫でしたか!」
「馬鹿野郎、誰が殺せと言った!」
「え……」

部下はてっきりキラーに誉められるものだと思っていたらしく、呆気にとられ口をポカンと開いたままだった。キラーも、襲い掛かろうとはしたが、殺すつもりなんて無かったのだ。ただ、気絶させようとしただけだった。

「……死んだか?」

歩み寄ると、娘の頭から僅かに血が出ていた。

「キラーさん、こいつ……」
「あぁ、間違いない。」

キラーと部下が覗きこんだ、
倒れた娘の露にされた顔は、自分も、皆もよく記憶に残っている人物…




「ザジだ。」

特有のピンクの髪、
あのチョーカーの下から少し覗いた傷痕が、何よりの証拠だった。







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