其の凩(こがらし)

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グランドラインを滑る一隻の船が、同業船と出会い戦い始める。一つはそこそこ名の知れた海賊船、そしてもう一隻は…


「キッドの頭ァ!この船宝がわんさかあるぜ!」
「全て奪え!全てだ!!」

億越のルーキーと呼ばれ、あらゆる者達に恐れられ新聞も賑わせている“キッド海賊団”
この世に夥しいほど存在する海賊同士が、ぶつかり合えばどうなるかはもう答えは一つ。

現に今の状況がそうであると言える。キッド海賊団の船の近くにやってきた哀れな海賊団は、“キャプテン”の手によって滅ぼされる運命を辿る。


「おれ達に喧嘩売ったんだ。略奪の限りを尽くしてやる」

まるで悪魔とでも呼べる男…
キッド達は次々と敵を殺していき、船に入り込んで様々な物を掻っ攫って行く。

「腰抜け共が…」
「まぁそう言うな」

相方のキラーも詰まらなさそうに嘆く。
どうやら手応えのある相手と殺り合いたかったのだろうが、その欲が満たされる事は無かった。



だが、その日大きな“収穫”を得てしまう事にまだキッド達は気づかない。
船は静まり返り、全員で協力して食料や宝や武器を全て自分達の船に運ぶ。

「この船、やけに武器が多いな」
「ツイてるぜ」

クルーが運んでいる最中にそう口にしていたのをキッドは耳にした。それなら光栄だ。なんせ武器が増えるのは都合のいい事づくめ。

今日は宴でも開こうか、
誰かがそう言った。

「いいな、それ!」


案の定、その日の夜は宴が行われ酒や料理や笑い声でキッド海賊団の船の上は華やかに盛り上がった。






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