笑う少女 2
□40 その音色、清く潔く。
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「キッド、次の島までかなり掛かるぞ。それまで…」
「もう女は乗せねぇよ」
「は、」
キラーはキッドの返事に我ながら素っ頓狂な声を漏らしてしまった事に少しだけマスクの下で赤面する。
「気でも変わったか?」
「まァ、そんなとこだ」
「……」
アイツを抱いた感触は今でも鮮明に残っている。
自分を求める姿が愛しく感じてしまった事も、キッドは認めている。
部屋に再び戻れば、自分のベッドの上で小さく寝息を立てて眠っている人影が見える。
「……」
近寄ってベッドの隅の方にコートを投げ捨て、眠っているその顔を覗き込む。
激しく抱いて疲れたのか、本当に心地よさそうに眠っていた。
乱れた服から覗く、首元のチョーカーとはだけた背中の火傷跡。
その火傷をそっと撫でると、確かに痛々しく皮膚が突っ張っている感じが手に伝わってきた。
「……」
抱える事の多過ぎた少女は、
他人にすがる事を知らなかった。
私じゃ、…ダメなの?
徐々に麗しく熟しながら成長していくその姿に、キッドは目を背けてしまった。
手を出していいのか、分からなかった。
それでも、自分を求めてくれていた事が物凄く嬉しいと感じているのだ。
。