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□これからは、隣で
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"さっきなんかこっち大雨で"
「まじで?東京は晴れてるぜ」
"ほんま?ええな〜"
あいつと電話をするのは、もう、ずっと日課になってる。
仕事帰りは、最寄り駅についてから家につくまでは電話をする、という約束ができたのは、あいつが東京を離れることになってから。
なんて、考えて、もう二年も経つんだと、思い知らされた。
「仕事、順調か?」
"ん、もう少しで戻れると思う"
「そうかーーーー」
高校を卒業して就職を選んだ彼女の名前は、研修で関西に行くことになり、そこからは一度も会っていない。
かかさずとっている連絡だけが俺たちを繋ぎとめる唯一の手段だったから
俺はそれを必死に守ってきたけれど。
(ーーー会いてえなあ、)
あと数分で俺は二十歳の誕生日を迎える。
高校一年の冬から付き合ってきた名前は、三回誕生日を祝ってもらったけれど、去年はもうこっちには居なかったから、電話だけ。
やっぱり毎年、会って祝われたい、だなんて
わがままになる