short
□オソロイ
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『この書類にサインお願い』
「おー」
『誰でもできる書類はどれ?』
「あー、これとこれと…これ」
『なんでそんなあるのよ、あんたがやらなきゃいけないやつ以外貸して』
書類にサインをしていた修兵が、驚いたように目を開く
アタシは、書類をぶんどると、通されたソファから立ち上がった
『これ、アタシでもできるやつだし変わりにやるから、自分の仕事終わったら帰りなよ』
「いや、さすがにそれは悪ィし、」
『なに言ってるの、先ずは自分の体大事にしなきゃだめでしょ』
ふわり、
笑った修兵がアタシの頭を撫でる。
「ほんとおまえなんなの…」
『ふふ、』
「もー…馬鹿だろ、ほんと」
腕を引かれて、修兵の胸にダイブして、修兵の匂いがアタシの鼻を掠めた
(去年アタシがあげた香水、まだ使ってくれてんだ)
爽やかな、グレープフルーツの香り。
ぎゅーっと、一瞬抱き締められて、離されたと思うと、また、アタシの好きな笑顔で、ありがとな、と、笑う。