LOVE ME
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『ーーーーあ、滝、だ』
少し小さいけれど、綺麗な水が流れている滝と、湖があって。
それに向かって走っていると、少し遠いところで悲鳴のような、叫び声のようなものが聞こえた。
だけど、当時のあたしはそれに気がつくことができなかった。
そんな余裕すら、なかった。
ーーーーーーーォォオオオオッ!
『…え、』
怪物だ。
すぐ近くに迫っているのが分かったのに、足が震えて動けない。
その間にも近づいてくる怪物は「旨そう」だとか「喰わせろ」だとか
叫ぶように近づいてくる。
『や、やだ…やだやだやだ!誰かッ!』
座りこんだまま、目を瞑って、次にくるだろう衝撃を待った。
助けて、なんて言葉も、声なんて震えて発せられなくて。
もう、だめだ。
と、本当に、そう思った。
――――― 「だいじょうぶや」
この声が、聞こえるまでは。