short
□もう戻れない
1ページ/1ページ
組み敷いた柔らかい身体に目眩を覚えた。
嫌だと拒否し、覆い被さる俺を退けようと伸ばした細い腕すら押さえつけて、見下ろす。
目を瞑って顔を逸らされたけれど、もう、そんなの関係なく荒々しく口付けた。
小さく漏れる、初めて聞く彼女の甘い声に体の内側がぎゅっと疼いた気がした。
「なァ、名前」
ぽつりと小さく呟くと、彼女はゆっくり目を開いた。
その目尻から涙がゆっくりと頬を伝う
「…あいつにも、こうやってされてんだろ?」
驚いたように目を見開く。
そりゃそうだろうな、と自嘲気味に笑った。
あいつを、ナツを好きだと言った彼女に、俺は協力してやる、と、言ったのだから。
そのうち、笑いあったり、手を絡ませる二人にぐるぐると黒い感情が疼いて止まらなかった。
俺だって、お前のことが好きだったんだよ。
きっとナツなんかより、ずっと前から
「なんで、グレイ、」
「…知るかよ」
ばたばたと暴れる脚の間に身体を割り込ませて抵抗を奪う。
露出の高いその服はいとも簡単にはだけ、そのまま服の中に手を入れた。
びくりと、震えた彼女の身体に舌を這わせる。
ああ、ずっとこうしたかった、ずっと聞きたかった。
無我夢中で彼女を求め続ける俺にはもう彼女の涙も、嫌だと拒否する声も聞こえない。
「あ……ナツ、ッ!」
それでも、小さく抵抗した彼女の口から聞こえたのはあいつの名前。
頼むよ。
頼むから俺を拒絶しないでくれ