風、吹けば恋
□第5話 まさかのラブアフェアー?!
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笠松先輩は黒のロゴTシャツに白いシャツを羽織って、ネイビーのクロップドパンツといういでたちだ。
(く、くるぶしがみえてる・・・!か、可愛い・・・)
だって、部活の時はニーハイ(←ちがうぞ)履いてるし・・・。
シンプルかつクリーンな感じがイメージにぴったり。
す、素敵すぎる・・・!(←欲目)
私服姿を見られるなんて思っていなかったから、すごくうれしい。
・・・・待って。
ふと冷静になって私は自分の姿を振り返った。
今日の私の私服。
Tシャツにサロペットにペタンコのバレエシューズ。もちろんすっぴん、ヘアアレンジなし。
動きやすさと、おなか一杯食べても苦しくないようにと考えたのがこの姿。
女らしさ皆無。
(恥ずかしいいいい!サロペットって、どこのキノコ好きなヒゲおやじなのよ!!!)
激しく後悔。こんなことならせめてワンピース着ればよかった・・・。
「・・・なぁ」
っていうかこういうときこそ黄瀬くんからもらったコスメ使わなきゃなのに・・・。
「なぁって」
「へ、あ、は、はい!」
あまりの恥ずかしさに脳内でもんどりうっていたら、笠松先輩の呼びかけに気づくのが遅れてしまった。
「お前、何時に約束してんだ」
「あ、えと・・・」
時計を見てみると、約束の11時からすでに20分過ぎていた。
「11時だったんですけど」
珍しいな。
キョンちゃん割と時間に正確なんだけど。
「オレも。黄瀬のヤツ、後輩が先輩待たせるとはいい度胸してやがんな」
と笠松先輩は腕組みしながらイライラしている。
でも、私はもうしばらくこのままがいい。
もうしばらく先輩と一緒にいたい。
・・・そんなこと思っていたら、そのままさらに10分過ぎてしまった。
「・・・来ねぇな」
「・・・ですね」
これはさすがにおかしいと思い、私と先輩はそれぞれ電話をかける。
「もしもしキョンちゃん?」
『何?愛生っちょ』
「何じゃないよ、遅刻だよ!今どこにいるの?」
『あ〜、あたし、行かないから』
「はあっ!?」
何いってんの、キョンちゃん。
「行かないって、今日誘ってきたのキョンちゃんじゃない」
『黄瀬亮太に頼まれたの。あんたを誘い出してくれって』
「なんでよ」
『知らない。ただ戦国BUSHOWのCMの生ポラくれるって言うから頼まれただけ』
ってまた戦国BUSHOWかいっ。
「そんな行かないなんて言わずに来てよ。この前話したケーキ食べ放題のお店行こうよ」
『絶対いかない』
と電話は切られた。