続 風、吹けば恋

□第38話 恋とくしゃみとカーディガン
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「ふぇっくしゅん!」

今日一日もう何度目かわからない。
くしゃみを繰り返して、つくづく失敗だったと悔やむ。

今年の冷え込みは緩やかで、11月もあと数日で終わりというのにまだコートもいらないような暖かい陽気の日々が続いていた。

なのに!

今日一日で冬本番がいきなり始まったかのような寒さになった。

今朝の私は寝坊をしてしまい、去年クリーニングから返ってきたコートはビニールもタグもつきっぱなしで、それを用意する余裕がなくて、制服に薄手のカーディガンを羽織るいつもの格好で学校に出てきてしまったのだ。

こんな冷え込みは朝のうちだけと思ってたのに。
そんな予想に反して冷え込みは一日中続き、そして夕方になった今さらに厳しくなっている。

それならば早く家に帰って暖をとった方がいいのだけれど、私は現在駅前の書店にいる。

なぜかというと、笠松先輩とここで待ち合わせをしているから。

ウィンターカップ開催まであと一ヶ月を切り、海常バスケ部は平日の練習に加えて、週末は調整のための練習試合が毎週組まれて本格的に忙しい日々を送っている。

そんなわけで、最近笠松先輩と会う回数は減っていたのだが。

今日突然、笠松先輩から放課後デートのお誘いメールが届いたのだ。

それを誰が断れようか。
いや、断れまい。

そんなわけで、私はこうして笠松先輩を待っている。

ティッシュで鼻水をぬぐって、ずれてしまったイヤフォンをはめ直した。

「……」

立ち読みしているのは月バス。
その特集はもちろん開催が迫るウィンターカップだ。
今年は記念大会とかで特別枠なるものが設けられ、出場枠の関係で例のキセキの世代が全員出場するのは今大会が最初で最後らしく、開催前から盛り上がっているらしい。

出場校の特集記事も、そのキセキの世代がいる学校に大きく内容が割り振られていて、その中にはもちろん海常高校の記事が載っている。

その内容とは、こうだ。
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