続 風、吹けば恋
□第33話 夏の残り火
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赤司くんとの不思議な出会いから、翌日。
本当にお肉が届いた。
最高級サーロイン牛、10キログラム(どーん!)。
「愛生、一体どうしたんだよ? この肉?!」
と、鉄平くんにたずねられて、
「…昨日、家の前に故障車が止まってて。それで修理の間、ウチに上がってもらったら、お礼を送りますって言われて…」
と私は答えた。
「それだけでこんな見返りが?」
と鉄平くんはますます驚く。
でも、驚いたのは私も同じ。
(こんなサンドバックみたいなお肉が届くとは…!)
とりあえず、肉を小分けに切って三日分はチルド室に。
後は、冷凍庫にてフリージング。冷凍庫が肉でいっぱいになった。
「これじゃあ当分、毎日ステーキだな」
近所の商店街で買い物中、鉄平くんが言った。
「一度は夢みるけど、いざ実現するとちょっとゾッとするな…」
「え、鉄平くん、あれくらい食べられるでしょ?」
「無茶言うなよ。さすがにオレでもキツイよ」
「おじいちゃんとおばあちゃんは、きっと食べれないしね…」
「かと言って、冷凍保存にも限度があるしなぁ」
どうしたものかと途方に暮れていたら、ガラガラ抽選会の会場に通りかかった。
「鉄平くん、あれ、引きに行こう!」
と、私はそちらを指差した。
さっき八百屋さんで買い物した時に、抽選券をもらったのだ。
「おお。…一等賞は、沖縄旅行かぁ」
「狙いはそれじゃなくって…」
三等賞の、ブルーレイレコーダー!
だって、祖父母宅には無いのだ!
私は勇んで受付の人に券を渡し、ガラガラのハンドルに手をかけた。
「……」
息を止めて、ガラガラを回す。
ガラガラガラガラ……。
コロン。
「おめでとうございます〜!」
商店街にハンドベルの音が鳴り響く。
当たったのは…。