続 風、吹けば恋

□第32話 不思議な少年
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両親が京都に引っ越し、私が東京の祖父母宅に居候を始めて4日が過ぎようとしていた。

祖父母宅は築百年近くの重い瓦屋根の木造住宅。

いわゆる古民家だ。

今までマンション暮らしだった私には、古民家での生活は新鮮なものだった。

だけど、どうしても慣れないものがある。

それは、お風呂である。

もともとお風呂は離れにあったのだが、天候の悪い日や冬場などには色々不便なため、母屋をリフォームして新たにお風呂をつけたらしいのだけど。

その場所が、問題なのだ。

ガス管の関係で、お風呂が台所の隣なのだ。

脱衣所がなく、台所のそばで服を脱ぎ着しなければならない。

おまけに、台所の隣は間仕切りなく茶の間が続く。

なので私は家の皆が寝静まった頃に入浴することにしていた。

そして今夜も夜中に入浴し、上がって体をタオルでふいていたら…。

「あー、疲れた」

夜のロードワークから戻り、冷蔵庫に飲み物を取りに来た鉄平くんと、

「きゃーっ!」
「うわっ!」

鉢合わせしてしまった(これで四回目、要するに毎日)。

「鉄平くんのヘンタイ!」
「す、すまん! 愛生がいるって知らなかったんだ!」

……そして、問題はもうひとつ。

ご飯である。

いや、おばあちゃんの作るご飯はとてもおいしい。
純和食の食事。それも問題ない。

だけど、主に煮物ばかりなのだ。筑前煮とか切り干し大根とか高野豆腐の煮物とか。なんだか、全体的に茶色い。

お肉が、皆無。
あっても鶏肉、豚(あっても、ほんのちょっぴり…)。

私はそんなに肉食ではないけれど、それでもまだまだ若い高校生。

牛肉が、恋しい。

鉄平くんは、この肉なしライフでどうやってあのおっきな体を維持しているのだろうか…。
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