続 風、吹けば恋

□第30話 花と月と私のイトコ
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「「「「えっ?!」」」」
「だから、キョウトではなくトウキョウへ引っ越すことになりました」
「じゃあ、東京の学校に転校するの?」

そうたずねたのは、も〜ちゃん。

「ううん。東京って言っても限りなく神奈川側だから。このままこの学校に通うの」
「じゃあこれからも一緒にいられるの?」
「そうだよ、も〜ちゃん」
「よかったーっ、嬉しい。愛生ちゃん!」
「私もーっ、も〜ちゃん!」

と、私とも〜ちゃんはお互いに抱き合う。

「しかしなぜに東京?」

そのそばで、キョンちゃんがたずねる。

「父方の祖父母がいるの。そこで居候させてもらえることになったの」
「そんな手があったなら、あんな大騒ぎしなくてよかったじゃん」
「うん。でも最初は無理って言われてたの。祖父母のところには先にイトコが居候してるから」
「イトコ?」
「私と同い年の男の子なの」
「……オトコ?」

そう鋭い反応を見せたのは、貴志さんだった。

「え〜っ、水沢先輩のイトコさんってどんな人なんですかぁ? かっこいいですかぁ?」
「かっこいいかなんて、自分の親戚をそんな目でみたことないよ…」
「だから客観的に見てですよぉ」
「うーん…」

しばし、私は考えた。

「人が良さそうな顔してる。で、背が高い。今はどうかわからないけど、小さい頃は大きくて頼りになるからって、男の子からも女の子からもよくもててた気がする」
「何それ、超イケてるんじゃないですかぁ?!」
「…うーん…」
「なんですかぁ、さっきから。歯切れ悪いですね。仲悪いんですか?」
「…そんなことないよ。ただ」
「ただ?」
「……苦手なの」

そう、私はなんとなーく、イトコの鉄平くんが苦手なのだ。
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