続 風、吹けば恋
□第28話 真夏の夜の夢
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「「「「京都へ引越し?!」」」」
歌っている時でも聴けないようなハモり具合にびっくりする。
「引越しって、どうして?」
と、も〜ちゃんが既に涙目でたずねてきた。
「おばあちゃんに介護が必要になったの。それで…」
私がそう答えると、みんな深いため息をついた。
「それは仕方ないことだけど…愛生ちゃんとサヨナラなんてやだよー。愛生ちゃんだけでも、こっちに残れないの?」
も〜ちゃんが私にすがりつきながら言った。
「うん、私もこっちで一人暮らしするようにお願いしたんだけどね…」
だけど、お父さんもお母さんも断固として聞き入れてくれず、交渉決裂。
それならば実力行使だと、不動産屋さんにも行ったのだけれど、高校生の私が一人で行っても門前払いされてしまったのだ。
引越しを告げられたあの日から今日まで、両親とはロクに口をきいていない。
今度は貴志さんが質問してきた。
「…カレシさんは、何て言ってるんですかぁ?」
「…突然で実感がないって。でも、仕方ないんじゃないかって」
「え、なんか冷たくないですかぁ?」
「…でも、離れても気持ちは変わらないって言ってくれてるし」
「…だといいですけどねぇ」
「……」
どういう意味?!