続 風、吹けば恋
□第27話 あなたなしでは
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駅前のコーヒーチェーン店は、夕飯時でも学生や会社帰りの人たちで混雑している。
私は一番隅っこのテーブル席で、静かに時間が過ぎるのを待った。
おしゃべり声やコーヒーの香りが、気持ちをなだめてくれるけど、ふと気を緩めると、視界が涙でぼやけてしまう。
私はテーブルに突っ伏した。
ほんの数時間前までは、幸せな未来を信じて疑わなかったのに。
今はもう、悲しい未来しか思い浮かばない。
「……っ」
唇を固く結んで、目を閉じて、泣き声をこらえる。
そうやって峠を越えて、顔を上げたら、
「水沢」
ずっと待ちわびていた人が、目の前に立っていた。
「どうしたんだよ、大丈夫か?」
そう言いながら、笠松先輩は私の向かいに座った。
我慢していた涙があふれてしまう。
「…笠松先輩〜〜〜!」
「?!」
突然、私が子供みたいに泣き出したので、笠松先輩はギョッとしている。
「お、おい」
「うっうっうう〜〜」
「落ち着けよ、どうしたんだよ」
周りの人たちが好奇な目で私たちを見ている。
きっとあの人たちからは、笠松先輩が私を泣かせているように見えるのだろう。
笠松先輩だって困ってる。
わかってる。
わかってるけど、止められないんだ。