風、吹けば恋
□第16話 心みだれて
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「か、笠松先輩、しっかりして下さい〜っ」
ぐったりしている笠松先輩を支えながら、外灯の下にあるベンチへ向かう。
(お、重い〜)
なんとかベンチへたどり着くと、笠松先輩をそこへ横たわらせた。
笠松先輩は赤い顔で目を伏せたまま。時々、小さくうーんとうなり声をあげる。すぐに目を覚ます様子はない。
どうしよう、こんなことになるなんて!
(そ、そんなにショックだったのかな…)
自分のしでかしたことの大きさにおののきながら、私はケータイで電話をかけた。
こんな時、頼れるのはひとりしか知らない。
呼び出し音が鳴ってすぐ、その人は出てくれた。
「もしもし、愛生ちゃん?」
「もしもし、黄瀬くんー!?」
「なに、どうしたんスか?」
「急にごめんなさい!でも、助けてー!!」
「え?」
要領のまとまらない私の話を聞いた後、黄瀬くんはとにかくすぐこちらに向かうから待つようにと言って電話を切った。
その後、私は笠松先輩の隣にへたり込んだ。
改めて笠松先輩の顔をみたら、頭のてっぺんから煙が登るっていうくらい顔が熱くなってきた。
私にとっては、
正真正銘の、
初めてのキス、だった。