風、吹けば恋

□第8話 恋の手ほどき
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ある日、学校へ行くと異変が起きていた。

「水沢先輩ですか?あの私たち、合唱部に入部したいんですけど」

今は昼休み。見知らぬ一年生の女の子たちが五人、教室にやってきて声を掛けられた。

「えっと、そうだけど、入部に関しては顧問のハットリ先生にきいてもらった方がいいと思うんだけど…」
と私は言葉を返す。
すると、その子たちは困惑したように顔を見合わせた。
「 ハットリ先生にきいたら、水沢先輩が部長だから、そっちにきいてくれって言われたんです」

また丸投げかいっ!

うーん、部長としては部員数拡張のため即了承したいのだけど。

「えっと、私の一存じゃ決めれないから、また後日にお返事ってことでいいかな?前向きに検討するけど」
と一応、答えておいた。


「絶対、いや」
放課後、そのことを皆に話すと、キョンちゃんが即答した。
「部員増えたら真面目に練習しなきゃいけなくなるじゃん」

「増えるっても五人だけだし、っていうかキョンちゃん、仮にも副部長なんだから…」

「じゃあ、今より人数増えたら海常から合同練習はもう必要ないですねって断られるかもしれないよ。それでも愛生っちょはいいんだ」

うっ、それは困るけど…。

「でもどんな人でも入りたいクラブに入部する権利はあるわけだし…」
「あっそう〜。愛生っちょがいいなら私は別にいいけど」

絶対いいよなんて思ってないよ。
私も今までのメンツとゆるゆるやっていきたいけど…。

でも、最近の私、少し変わってきた気がする。

意識の高い海常合唱部の練習に触発されたことと、

あと、笠松先輩のバスケに打ち込む姿を見て、

私も何かに打ち込んでみたいと思えるようになってきたんだ。
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