風、吹けば恋

□第3.5話 放課後ピグマリオンreprise
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負けることがこんなにも悔しいだなんて、知らなかった。

でも、どうしてだろう。同じくらい嬉しい。
まだまだ上達していかないといけない。

そう思うと、無性に練習したくなって、終業のベルが鳴るのと同時に体育館へ走って行った。

監督は試合の次の日は休めって言ってたけど、どうせあの人も自主練にくるだろう。
今までサボりがちだった分、シゴいてもらうとするか。

体育館の前まで来ると、やっぱり
笠松先輩も来ていた。

「ちわっス、笠松先輩!」
声をかけると、笠松先輩は大きな目をますます大きくして、オレを見た。
「黄瀬…どうしたんだよ」
「考えてることは、先輩と同じっスよ」
「お、お前が自主練かよ?!」
「いけないッスか?」
「…どういう風の吹きまわしだよ。明日雪でも降るんじゃねぇか…」
「昨日の今日ッスからね、なんだか無性に練習したくなって」
「そりゃ結構な心掛けだが残念だったな」
ほら、と笠松先輩は顎で体育館の中の様子を指した。
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