風、吹けば恋

□第3話 放課後ピグマリオン
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「愛生ちゃん!」
黄瀬くんが私の方へ歩いて来ると、それまで彼を取り囲んでいた女の子たちの群れが十戒の波の様に真っ二つに割れた。
「ごめんね、突然来ちゃって」
「う、うん。大丈夫…」
ほんとはスゴくびっくりしてるけど。
で、やっぱり周りの女の子たちの視線がイタい。でも、今度はキョンちゃんたちも一緒だから心強い。
「後ろにいるのは愛生ちゃんの友達っスか?」
「うん、同じクラブなの」
「海常の黄瀬涼太っス。よろしく」
と黄瀬くんは、シャラランと輝く笑顔をみせた。
私の背後に隠れるようにしているキョンちゃんたちは、恥ずかしそうにモジモジしている。
さっきまでサインもらうってはしゃいでたのに…男の子に免疫ない『ヒモジョ』の悲しさよ…。
かくいう私もいっぱいいっぱいなんだけどね。
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