風、吹けば恋
□第2話 ヒモジョの恋
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「今日はありがとうございました」
「ほな水沢さん、金曜にまた会おう」
「はい、よろしくお願いします」
「ほいほい、こちらこそ〜」
そうして校門前で私は部長さんと別れた。
合同練習は、毎週金曜と隔週土曜日に決まった。
海常さんの足を引っ張らないよう、頑張らなくちゃ。
まだどこか浮ついてる気持ちに気合いを入れて、切り替える。
よし、明日はさっそく部の皆に報告だ。
そうして、校門をくぐり海常を後にしようとした時だった。
「ちょっとそこのセーラー服のコ、待って!」
と大きな声が背後から聞こえた。
…セーラー服?
立ち止まり、念のため周りを見てみる。どう見ても、私しかいない。
「そ、君のことっスよ」
とすぐ背後で声がして、振り替えると、なんと、そこには黄瀬涼太がいた。
黄瀬涼太がニコニコ笑いながら、私の目の前でシャララ〜ン(注:効果音)と立っている。
「なっなっ」
「あ、急に声かけたりしてごめん。ビックリしたっスよね?オレ、黄瀬涼太っていうんス」
いやいや、知ってますとも…。っていうか…。
(背、高っ!まつげ長っ!肌綺麗!)
カッコいい…実物はめちゃくちゃカッコいい…。
それだけに、緊張して固まってしまう。
っていうか、黄瀬涼太が私に何用!?