風、吹けば恋

□第1話 みつめていたい
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「あのぅ、スミマセン・・・」

勇気を振り絞って出した声は届かなかったらしい。

代わりに彼女達の捨てたお菓子の空箱が、風にあおられて、私の足元に転がってきた。

(ゴミはゴミ箱へって子供の頃教わらなかったのっ)

それを拾って、腹立ち紛れにゴミ箱へ投げ捨てた。

ここは私立海常高校。
偏差値は高く、部活動も盛ん。いわゆる文武両道で有名な名門校だ。

私は水沢愛生。2年生。
でも、海常の生徒ではありません。

私が通うのは、海常さんの近所にある公立高校。
偏差値は中の下、生徒の6割が帰宅部で全国大会とかには縁がない。いわゆるフツーの学校、だ。

なんでこんなとこにいるのかというと。
ちょっと面倒な用事があって来たのだ。

行先は文化部部室棟。

・・・だけど場所がわからず、さっきから困っているのだ。

だって、この学校めちゃ広いんだもん!!
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