BOOK 2

□めぐり逢い 5
2ページ/13ページ

向った先は薩摩藩御用達の呉服屋さん


そこで店主らしき人が
大久保様お待ちしておりました
ご要望の物をいろいろと揃えております
ゆっくり手にとっておみください と色鮮やかな反物を紹介した


うむ このオナゴに合う着物が欲しい 
揃えてくれるかと目線で店主に私を紹介した


そうどすか〜
わかりましたさぁ娘はん此方へどうぞ 
と店主に反物の前に連れて行かれる


私は予想もしていなかった出来事に驚いて口が開いたままになっていた
私の顔を見るなり あははっ と大久保さんが笑い 
そんな顔をしたら折角の反物が台無しだな と呆れたように首を振った


ふん・・・
どうせ私は面白い顔ですよ〜と少し膨れた
好きな人にそんな事言われるのがどれだけ・・・と思ったけど


私の気持ちを知られる事の方が怖かったから少しひきつりながらだったけど
大久保さんありがとうございまつ・・・
最後の最後で噛んでしまうようなお礼を伝えた


もう〜こんな私は・・・
いや〜っ と心の中で絶叫していた


気分を変えて目の前の反物を見てまわったけど
本当にどの反物も色鮮やかで美しいものばかりだった


どうどすか?
といろいろ店主は勧めてくれるけど・・・
私には色鮮やか過ぎて私には不釣り合いな気がして選べなかった


その中である反物に目がとまる
全体が薄紫色で足元と襟元、袖の一部に藤の花を二羽の小鳥が並び
互いに加え合う柄の入った反物にうっとりとしていた


その様子に店主が 
娘はんもお目が高いどすね
流石大久保様のお連れはんだけある と言ってくれた


本当かどうかは別として私に似合うかどうかが心配だった
そんな私の思いに気づかないふりをして反物を私の肩にかけ 
うんうんと頷く店主の顔を見ていると 大丈夫なのかなと安心できた


念のため大久保さんにもみてもらおうかと
大久保さんの元へ行くと綺麗な女の人が
大久保さんにしな垂れかかり話しているのが見えた


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ