BOOK 1

□紅い月 9
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寺田屋に帰ってからの私は・・・
なんというか・・・はっきり言って役立たず・・・


何をするのにも高杉さんの言葉が耳から離れない


『もう・・・高杉さん///』
高杉さんの言葉を思い出すたびに
ますます以蔵を意識してしまい 自分の身体がカチカチになる


はぁ〜 出るのはため息ばかり・・・


こんな調子ではだめっと自分に言いきかせ
今日もお世話になる寺田屋の廊下の雑巾がけ、中庭の掃除、皆さんの洗濯物
宿泊のお客様の食事の支度とお手伝いに精を出していた


「変わった名の麻里耶今日もお前の茶を飲みに来てやったぞ」


口角をあげ腕組をした大久保さんが私の前にドンと現れた


いつの間に来られたんだろう?と不思議に思っていると
「ふんお前の小さい頭では私の事は理解できまい」といつものように上から目線で話しだす


『はいはいどうせ私は小さい頭ですよ〜だ』 
と膨れていると 
「あはは そんなに膨れるとますます見られない風貌になってしまうぞ」


・・・


「・・・今日はおっさ ゴホン 大久保さん龍馬さん達に御用ですか?」
でも皆さんお出かけしているし・・・と不思議に思い 大久保さんへ伺った


そんな私に対してふーっと大きなため息をつき
「お前は二度同じ事をこの私に言わせるのか? まぁよい今日は久々に機嫌がよいゆえ
説明してやろう。変わった名の 麻里耶 
お前の煎れる茶を飲みに寄ってやったのだ。さぁお前が今すべき事はなんだ?」 


相変わらず 上から目線で相変わらずの呼び方・・・ 
諦めきっている私は「わかりました」とお茶の準備をしに台所へと向かった


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