BOOK 1
□紅い月 1
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何時からなのかわからないけど
私は不思議な夢をみるようになった・・・
見た事もないような景色の中で幾度となく重なり合う金属音
後ろ手に束ねた長い髪の人の背中をハラハラ しながらみている私
どうか・・・無事でありますように
どうか・・・怪我がありませんように
手を胸の前で合わせ祈る
その人を囲む一人の人が私の存在に気づき刀を向け振り下ろそうとしている
・・・逃げないと・・・
思っても金縛りにでもあったかのように身動きできない
『斬られる』 そう思った瞬間
「危ないっ」という声とともに私を庇うかのように覆いかぶさる紅い瞳の人
同時に何かが引き裂かれる音が響く
紅い瞳の人は覆いかぶさりながら
「・・・うっ・・・」と小さく呻き声をもらす
「・・・お前・・・怪我は・・・ないか」・・・と問いかけられる
私が頷くと同時に口から赤い血を吐きその場に倒れこむ
「いやーっ・・・」
・・・はぁはぁ・・・
今日もまた・・・ここで目が醒めた・・・
私の頬を涙がつたう
せつない気持ちがこみ上げてくる
どうしてなのかわからない
なぜこんな夢をみてしまうのか・・・
そしていつも思う事・・・
『なぜ貴方は私を庇ったの?』