BOOK 2
□めぐり逢い 6
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夜空をみつめ涙した日の翌日
予想通りパンパンに泣き腫らした眼をした私
どうやって誤魔化そうかと考えたけど・・・
誤魔化しようのない腫れ方だったからあえてそのままで朝餉の席に向った
けど・・・
この日の大久保さんはもう出かけた後だった
お静さんの話によると早朝に二本松藩邸に移った小松様から急ぎの書状が届き
読むなり半次郎さんと共に出かけたという話しだった
何かあったのかな?と思った・・・
だって今まで出かける時
必ず早朝でも私に声をかけてから出かけていたから・・・
顔も見ずに出かける大久保さんをみるのはここにきてはじめてだった
時代を動かそうと奔走している時期だからこんな事もあるよね
と言いきかせ大久保さんの無事な帰りを待った
陽が傾きかけた頃半次郎さんだけが戻ってきた
今夜大久保さんが戻らない事を私に知らせに・・・
言いようのない胸騒ぎが私の心をかき乱す
なんだろう・・・
この感じ・・・
見えない何かが私に襲いかかろうと待ちかまえているように思えて仕方なかった
この時の私は以前にきこえてきた声の主の事はすっかり忘れていた
でもこれがこれから起こる出来事のはじまりだった・・・