蔵
□米粒
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『今日もまただぁ』
その姿に気づいた私は思わず笑みが零れる
だって今日も以蔵の口元には一粒のご飯がついていたから・・・
ぱっと見は強面の印象だけど実は妙にこどもぽい所がある以蔵
特にご飯を食べる仕草は普段の姿とギャップがありすぎて乙女心を擽られてしまう
皆さんに順番にお茶を注いで回る中以蔵の口元についた米粒が気になって仕方がない
以蔵にお茶を煎れた時まで残っていたらそっととってあげよう そう思っていた
ふーっと一息ついて以蔵の元へお茶を注ぎにいくと相変わらず口元には一粒のお米がついていた
それに気づかず美味しそうに食事をしている以蔵の姿が可愛いと思えてしまう
いつまでもそのままだといけないと思い「以蔵?」と小さく名前を囁き
私の口元を指差し『ついているよ』という仕草をしてみた
以蔵は私の親切心とは裏腹に口をもぐもぐさせながら「ん?」という表情をみせる
中々気づかない以蔵に『もう〜以蔵ついたままだよ?』と再び私の口元を指でさし
懸命に米粒が付いている事を伝えていた
以蔵から返ってきた反応に今度は私が顔を紅くすることになるなんて///
以蔵said
今日もこうして寺田屋に帰ってこれた事こうして龍馬や武市先生、慎太と共に
麻里耶がこしらえた夕餉が食べられる事に感謝しつつ懸命に食べていた
『うん 旨い。』また旨くなったなと感じながら味噌汁を啜りそして飯を頬張る
この夕餉を作った麻里耶は今 順に茶を煎れてくれている
俺の所に来た時そっと礼を伝えてみようそんな事を考えながら麻里耶の到着を俺は待った
俺の前に来た麻里耶が小さく「以蔵」と囁く
麻里耶の方をみると口元を指差し何か言いたげにしている
俺にはそれがなんなのかわからなかったこの時はわからなかった
旨い飯を食らいながら考えていると再び口元を指差し俺に何かを訴えているように思えた
二度同じような仕草を見せるという事で俺は麻里耶が俺に望んでいると思い込み
皆のいる前で恥ずかしかったが麻里耶の想いに答える事にした
『麻里耶いつも旨い飯に感謝する』俺の想いを込めて・・・
麻里耶が指差す口元にそっと口付けをした
麻里耶をみると顔を真っ赤に染め驚いた面持ちで俺をみていた
そんなお前の口元に米粒がついていたからそっととり
俺の口の中に入れ俺は残りの夕餉を鼓動を高鳴らせながら食べた