BOOK 2

□めぐり逢い 3
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両手が使えない私は藩邸の中でする事が減り時間を持て余していた


なので・・・伊集院先生の所に通うことで少し暇つぶしじゃなくて
時間が有意義に使える事が嬉しかった


先生のいるお部屋を今日も尋ねる
「先生香寿です」と部屋の前で声をかけると
「香寿さぁいけんぞ 」と返ってくる


この『いけんぞ』って薩摩弁
はじめはわからず『いけない』⇒『だめ』と解釈した私は
『では失礼します』と部屋に帰ってしまった事があった


先生は「失礼します」って言ってからなかなか入ってこない私を探しに来てくれた


その時薩摩言葉の難しさを知り先生と私 顔を見合わせ大笑いした


その時を思いだし一人で微笑んでいた


「香寿さぁよか事でんあいもしたか?」と不思議そうに襖を開けた状態で先生に聴かれた


私は今 薩摩言葉の出来事を思いだしていた事を伝え再び二人で大笑いしていた


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