BOOK 2

□めぐり逢い 3
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薩摩藩邸 大久保said

馬鹿娘め・・・
私はとうに目が醒めておるというのに気づきもしないとは


お前を気づかせるため腕の中に抱き寄せてみたり
寝ている姿勢を変えようとしたが・・・


お前ときたら昨夜と同じように「ムニャムニャ」と口を動かすだけで終わってしまう


やっと目が醒めたかと思えば
急に体温を高くし腕の中で緊張しているのか微動だにせんとは


普段の私なら歓迎しているところだが事情が事情だ。
それ以上動かれると私の意識が逸れてしまう


お前の香りと抱き心地のよさに
離れがたいと思ってしまったばかりに時を逃してしまった


この私が「厠に行きたい」とお前の前で言えるわけがなかろう
それだけはご免被りたい


何せ今の私は寝衣の下は何もつけておらん・・・無防備な状態だからな


「厠にでも行きたいのか」とからかうとやっと布団から飛び起きたが
そこからまだ動こうとしない香寿に 茶の催促をする


こう言えばお前は急ぎ台所までいくであろう


腕組をし「同じ事を言わせるな」という事でやっと私は動く事ができた


用を足しながら先程の香寿の慌てぶりを思い出し 微笑んでしまう


香寿 お前は本当に興味深い女子だな


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