BOOK 2
□めぐり逢い 3
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朝のひと騒動のあと藩邸に小松様が帰ってきた
帰ってくるなり大久保さんのお部屋に様子を見にきてくれた
「香寿さん留守にしてすまなかったね。大久保さんの具合はどうかな?」
と優しく微笑みながら尋ねてきた
「もう大丈夫です」 と私も笑顔で返した
小松様は安心したようにほっとされたけど
「丁度藩医殿も同じように戻ってきたから診てもらおうと思うがいいかな?」と私に尋ねる
「もちろんお願いします」とお返事をした・・・
「伊集院くん」と小松様が廊下へ声をかける
聴き覚えのある名前だなと廊下をみると
「失礼しもんで」と軽く頭をさげて入ってきた
以前廊下で荷物を抱えていた人だと思いだす
目の前の伊集院さんもあっという顔を一瞬みせ笑顔に変わる
そんな様子をみた小松様が
「伊集院くんと香寿さんは会った事があるようだね」と聴かれたけど伊集院さんは
「おいと香寿さぁの話の前に大久保さぁの診察をはじめてもよかでしょうか」と話す
『なんかいい』
きっとこの先生は平成の時代なら評判のいい先生だろうなと感じた