短編
□相変わらずですね!
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こちらは歌舞伎町。
万事屋銀ちゃんとは、俺のことだ。
万事屋とは、依頼主が依頼することを何でもこなす特別な職業だ。
たとえば、猫探しだってするし、浮気調査だって行う。
何でも屋だから、本当にいろんな依頼が舞い込んでくる。
あ?依頼自体が少ないんじゃないかって?
うるせぇーよ。そんな訳…無いとは言えないけどな。
…まぁ、とにかくいろんな依頼が万事屋に集められるのさ。それを、俺達が解決させる。
いろんな依頼といったが、中にはとんでもないものまで集められる。
今回もそのとんでもない依頼の一つだ。
ドンドン
万事屋の扉を叩きやってきたのは、どこにでも居そうな平均的な顔の男だった。服装も平均的である。
「今日はなんの依頼で?」
俺が、珍しく真面目に依頼内容を聞いた。
その間に、新八がお茶を持ってくる。
依頼主は俯いていた顔を上げた。目の下に熊があり、どこかやつれ顔である。
しばらく、口を閉ざしていたが依頼主が重々しく口を開いた。
「……見てしまったです」
「…何をだ?」
誰かが固唾を呑む音がした。
「………髪が長くて、白い着物を纏った女の幽霊です」
それを聴いた瞬間俺は、耳を閉ざすことにした。
「って、銀さん!ちゃんと聞いてあげてくださいよ!」
「だって、ゆ、幽霊だって言うじゃないか、新八。俺がこうゆうの駄目だって知ってんだろ?!」
そうだ。俺はゆ…奴の存在など認めない!そうだ、きっとスタンドさ。いつものアレだろ?うん、スタンドなら大丈夫だ。きっと大丈夫だ。いや、大丈夫じゃない。俺はマダ生きていたい!!
「銀ちゃん、落ち着くネ。聞き間違いかもしれないアルヨ?」
「…それもそうだな。あの〜、すみません。もう一回お願いできますか?」
その可能性は低いことぐらい分かっているが、賭けてみることにした。
「えっ?あぁ…、はい。……見てしまったんです。」
「………ゆうれ「だぁぁっぁぁっっぅつつ!」
やっぱ、やつだったかぁっぁぁぁ!!!
一目散に自分が座っている、窓際のいすに向かった。
耳をふさぎ、丸まり防御姿勢だ。
「銀さん……」
新八の呆れた声が聞こえた。
「…新八と神楽、後は任せた」
予想はしていたようで、ため息一つこぼし、依頼主と新八、神楽が向き合った。
「すみません、あの馬鹿はおいといて、話を続けてください。」
背中から新八の冷たい笑顔を向けられた気がするが、気にしてなんかいられない。
「分かりました。話します。」