短編

□一人
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血に濡れた剣を振り回したって、
何もなりやしない。
あの頃も、あの人も二度と帰ってこない。
なら、なんのために戦う?
なんのために剣を握る?
国のため?
そんなの知らない。
俺は一体何がしたいんだ。
自分でも分からなくなって、
自分がなんなのかも分からない。




「俺は、何をすればいいの?
       ねぇー・・・先生」




真っ暗でどんよりとした曇天を見つめ、
小さく小さく呟いた。
この声すら届かないんだよね。
俺はこれからどうやって生きればいい?
沢山の事が一度に起こって、
苦しいのか悲しいのか辛いのかも
分からない。
感情さえも消え去って、
俺はここに立つ。




「ねぇー・・・、先生?
   聞こえますか?この声が。
          松陽先生……」



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