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□波乱の幕開け
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「もうっ!」と向かって右側に立っている片割れの彼を小突こうとしたけれど、一卵性のせいかあまりに似すぎていて諦めた。

「あっ、分からないんだ」と またにやりと笑われる。

言われてしまったので眉を潜めた。

「わかってるわよ、ちゃんと。右側がジョージで左がフレッド……でしょ」

言うが早いかスッと彼らの間をすり抜けた私の後ろで今度は彼らが目を丸くしているであろうことに小さく笑う。

「当てちまったよ、姫のヤツ……」と聞こえたのだから尚更だ。

(よかった。合ってた)

私だって伊達にずっと見続けていない。

それと、『姫』とかいう珍妙なあだ名で呼ぶのはやめて欲しい。

それから程なくしてハリーが到着し、私の父……シリウス・ブラックと熱い抱擁を交わしたところで相変わらず仲良いなぁと微笑んで

私と同じく少し後ろから見守るように微笑んでいたリーマスと目が合って笑い、リーマスを見つめていたのか、トンクスは床に転がっていたもので足をぶつけていた。

「かわいいなぁ、ニンファドーラ」と小さく小さく呟いたつもりが彼女の耳には届いていたらしく頬を染めて怒られた。

怒られたのは、呼び名のせいだ。

「ごめんなさい、トンクス」と言い直して、その後はハリーを連れて先に二階に上がっていたロンやハーマイオニーの待つ部屋へと案内した。

それかれ少し一悶着あったものの、子どもたちも広間へ戻り、今の魔法界の状況をリーマスやシリウスが説明し終わったところ……だったと思う。

談笑もそこそこに、各自が夕食に手を付け始めた頃

不意に物音がしたのだ。

丁度 少し前にトンクスが足をぶつけたときのような、そんな音。

そのせいか一瞬だけトンクスに注目が集まったけれど彼女は七変化の能力でハーマイオニーとジニー……私を除く女の子二人を笑わせていたから違った。

(じゃあ……何?)

私が眉を寄せたところで、ギィ・・・と開かれた扉。

そこで、皆が一斉に杖を構えたけれど中でも一番早かったのはハリーだった。

「ステューピファ――――……」

「エクスペリアームス(武器よ去れ)……っ!」

「あ…っ!」

宙を舞ったのは、ハリーの杖。

つまりは相手の方が早かったと言うわけだ。

その瞬間、きっと誰もがゾクリとしたはずだ。

そんな騎士団員を他所に、その人は「危ないなぁ、もう…」と苦笑する。

そして――――

「シリウスっ!」

何故か、私の父に抱きついた……
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