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□そんな二人のはじまり(親世代)
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「スニベルスっ!」

眼鏡をかけた少年が黒髪の宙づりにされた男の子に向かって杖を振るう。

私は、その様子を酷く冷めた目をしてチラリと見た。

「(馬鹿らしい…)」とベンチに腰掛けながら開いていた本へ視線を戻しす。

ちなみに眼鏡をかけているのは私と同じグリフィンドール生のジェームス・ポッター

宙づりにされているのがスリザリンのセブルス・スネイプ。

そしてポッターの隣で悪戯に加担している黒髪の美男子は……

名前を忘れた。

「おいっ!誰かコイツのズボン――――……」

と、ポッターが御下劣な言葉を言い終わる前に、

「ポッター!」

たっぷりとした赤髪を風に靡かせて大股で、声は怒った口調で

いつも通り綺麗な赤髪だな、と思いつつ、私のブロンドの髪も風に靡いた。

その少女の登場にポッターは表情を輝かせ、横にいる黒髪の少年は苦笑した。

「やあ、エバンズ!会いたかった!!」

「馴れ馴れしく呼ばないで、ポッター!」

あ〜あ、リリーったら……ポッターもだけど、この二人のやり取りは毎度御馴染みだ。

リリー・エバンズこと私の親友に心底惚れ込んでいるポッターはこうしていつも彼女の気を引こうとする。

そしてその被害者がセブルス・スネイプだ。

彼の行動はある意味間違った方向に功を成して彼女を怒らせている。

まぁ、私には関係ないけれど。

それからは案の定、リリーはおかんむりで例の黒髪の美少年に「朝食だから行くぞ」と言われたポッターは 最後にもう一度リリーへの愛を口にしてほいほいと彼の後に続く。

そして宙づりにされたスネイプは頭から落下。

リリーに心配されていたものの素っ気なく彼も朝食を食べに行ったのだ。

「ほんっと信じられない!」

そして、リリーの怒りは おさまっていない。

「もう、リサも何とか言ってよ!」

「うん――――、そうね…」

そう、リリーへの返事もそこそこに

「ほらっ!行くぞ?!シリウスっ!」

また、ポッターの声がした。

そこでようやく思い出す。

ああ――――、シリウスと呼ばれた美少年。

あの黒髪の少年の名前…そうだ。

シリウス・ブラックだった。

そんなことを思うと、ふと彼と目が合った気がした。
 

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