夢想花 壱

□剣技
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「そうゆうことじゃなくってよー、毎日へとへとになって、傷つくって。



 どうしてそこまでするんだろうなって思っただけだよ。」





「えっと、それは・・・」



理由?そんなのあなたに助けてもらったからに決まってるじゃないか。

助けられてばかりの自分じゃなくて
誰かを助けられるような自分になりたい。







誰かをと思ってるなら他にも方法はある。

だけど、

私はあなたみたいになりたいんだ。







それをうまく言えなくて、黙っている私に、さらにせまってくるシャルルカン様。



「街歩いてておもわねえの?


 自分と同じくらいの女の子がきれいなかっこしたり、楽しそうにしてるの見て、自分もそうしたいって。」









「・・・思いません。
 こうして剣をふるっているほうが私は好きです。」


少し困った顔をしたシャルルカン様。



私は、私の意思でここにいる。ここで頑張ってる。ちゃんと言わなきゃ。




「・・・シャルルカン様に助けていただいたことありますよね。
 
 その時、すごくかっこよかったです。正義のヒーローみたいで。




 もともと剣は好きだったので、私もシャルルカン様みたいになりたいと日々努力してきました。」






今でもあの時は忘れない。







「たしかに、街にいて私にできることはあるでしょう。
  
 ですが、私はこの剣で守りたいんです。
あなたのように王や八人将の皆さんのように。」








話を静かに聞いていたシャルルカン様は
良く似合う笑顔で




にかっと


「そうか!」
と一言。








あ、その笑顔。ちょっと犯則ですよ。
私だって女なんですから目に毒です。








なんて思っていると









「イ゛っだぁぁっ!」


なになになに、すごく痛い。





「ま、理由は分かったけどよ
 さすがにやりすぎ。腫れてんじゃねぇか。」


腫れてしまった私の腕を思いっきりつかんで言うシャルルカン様。


「なっ!、わかってるならつかまないでくださいよー!!」







わりぃ、わりぃ

何ていいながら手を放すこの人は
本当にそんなこと思ってるのだろうか?







「さあ〜、メシ!行こうぜ?」

「うぅ。はい。」


今度は大人しく後についていく。








「それ、ちゃんと手当てしろよ。
 治ったらおれがいくらでも相手してやるからよ。」


私の頭をくしゃくしゃにしながら
また、にかッと笑う







綺麗に着飾って、街で過ごしているより
やっぱり、あなたと手合せをしているほうが楽しいんです。









うまくなったな なんて




あなたに褒められながら
剣をふるうときが今の私には一番幸せなんです。
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