夢想花 壱
□誘惑
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「シンドバッド様、手が止まっています」
「シンドバッド様、休憩が長いです」
「シンドバッド様、逃げようとしないでください」
何回この言葉を使っただろうか。
数えていたらきりがない。
王が仕事をしないせいで
徹夜をしたジャーファルさんの代わりに
今日は私が王の見張りをしている。
どうしてあんなに良い人なのに
仕事が溜まってしまうのか不思議だったけど
今なら納得できる。
普段は良い王様で
その王様がいることで私たちはこんなにも幸せに暮らしていられるんだ。
だけど、仕事と酒癖となると
本当に使えない。
自分の仕事をしながら見張っているので、
王だけじゃなくて自分まで進まない。
「シンドバット様、あなたがお仕事をためるせいで、ジャーファルさんが徹夜してお仕事をしなくちゃいけなくなるんです。
ジャーファルさんのためと思って
お仕事してください。」
「そうはいってもなあ、ミオ。
肩が凝ってしまって仕事が・・・」
「できないなんて言わせませんよ、
王が怠けていると、私がジャーファルさんに怒られてしまうんです。
それにちゃんとやれれば
私のお給料が上がるんです。
だから仕事、してくださいね。」
キッと睨みながら王様に言えば
まいったなぁ といいそうな顔が見えた。