夢想花 壱

□剣技
1ページ/2ページ


シンドリア王宮、銀蠍塔にて
鍛錬に励む女一人。



「ハァ、ハァ、う・・・・」



まだ、まだ足りない。
足りないんだよ、まだ・・・・。



せっかくシャルルカン様がお手合わせしてくださったのだ、
あの感覚が消えないうちにもっと練習したい。


全身の神経を集中させて剣をふるう。








それでもやっぱり体がついていかない。


「あぁ・・・。もうだめー。」

やっぱり女だからかな、体力が全然違う。









手合せしたのはお昼を過ぎたころ。
そのあと一回休憩をとって今に至る。


「すこしやっただけでこんなんじゃ
 シャルルカン様のお役にたてないよね」







バタッとそのまま倒れる。
あぁ。夕日綺麗だなぁ。あと、あと少しやったらご飯食べよう。


そんなことを考えてらぼけーとしていると、足音がした。
誰?この時間に来る人なんかいるのかな?

なんとなく隠れてしまった私。



だんだん近づいてくる足音、柱の陰から出てきたのは、




あれ?シャルルカン様?








「やっぱりな、
 どこにもいねぇから来てみたら・・・。」



「お、お探しでしたか?
 申し訳ありません。少し鍛錬をしていまして。」


用があったんだろうか?
わざわざ探させてしまって申し訳ない。




「まだやってんだろうとおもってきただけだよ」


「はい、ですがそろそろ夕食の時間ですので」





夕日がもうほぼ沈み切ろうとしてる。
温かくおいしい食事が待っているに違いない。


「おっそうだな。じゃ、行くか」


そう言って、歩きはじめるシャルルカン様を呼び止める。





「あのっ私はまだもう少しだけやっていきますのでお先に・・・・」


そんな私に、はぁ〜とため息をつく。







「何言ってんだよ、まだやんのか?」

完全にあきれた風に言われる。








「わっ、私は強くなりたいんですっ!
 


 手合せしていただいたときの感覚がなくなってしまわないうちに、
 


 少しでも強くなりたいのです。」





だって、弱いままなんていやだ。
少しでもあなたのように強くなりたい。




「強くなろうとするのはいいいけどよ、
 なんでそこまで剣にこだわる?」

さっきまでとは違い少し鋭さを感じる。







「ミオは女の子だろ?
 街で普通に暮らしてたほうがいいんじゃねえの?」








「そ、・・・それは、私には剣は向かないということでしょうか?」



なんでそんなこと聞くんだろう・・・。



確かに他の男と比べると体力も力もない。
だけど、あなたに認めていただけるほどの実力は持っているはずだ。


なんだか自分を否定されたようで怖い。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ