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□翼を抱いた少女
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――海底レリクス
「んー、結構人がいるなぁ……。」
海底レリクスの調査に来た名無しは他の人の邪魔にならないように壁に寄りかかり、辺りを見回してポツリと呟いた
しばらくボーッとしていると、名無しに一人のキャストの男性が近寄ってくる
「……どうやらお前も傭兵のようだな。」
「あ、はい、一応…フリーの傭兵です。」
「そうか…そりゃ大したもんだ。」
突然話しかけられた事に名無しは少し戸惑いながらも答える
「それにしても強そうな人が多いですねぇ…。」
「ま、場所が場所ってこともあって腕利きを集めているのかもな。」
海底レリクスは最近発見されたもので、調査はほとんどされていない
今名無し達がいる場所までは特になにも無かったが、奥にはどんな物が、どんなエネミーが待ち構えているのか……
「このあたりは安全なようだが……奥はまさに未開の地ってわけよ。」
「へぇ…早く進みたいなぁ。」
「怖くはないのか?」
「怖くない、って言ったら嘘になるけど…ここを初めて見るのは私達なんだって考えるとワクワクします。」
「ふっ…その気持はわからなくもないな。」
「それに、もしかしたらすっごいお宝があるかも…!」
奥に続く扉がある方を見て目を輝かせる名無しに彼は小さく笑い、同じ方に視線を向ける
すると一人の少女の声が聞こえ、二人は扉から目を離してそちらを見る
「……なんだ、あの子供は?腕利きの傭兵のようにはとても見えないが……。」
「確かに……。…ん?あの子は……?」
「知り合いか?」
「……いえ、なんとなく似てるだけでした。」
名無しはその少女に見覚えがあるような気がしてじっと見つめるが、すぐに首を横に振る
しかし名無しはその少女から目を離せないでいて、人をジロジロと見るのはあまり良くないと思いながらも少女の方を見ていた
背の高いビーストの男性と一緒にいたが、彼はすぐにどこかへ行ってしまった
少女はしばらく不安そうにしていると思いきや、突如両手で頭を抱えてその場にうずくまる
「ぁ……。」
「どうした?」
「すみません、ちょっと…失礼します。」
名無しはうずくまった少女の側に駆け寄る
他の人は少女の様子に気づいていない
それに何故か放ってはおけない気がしたのだ
「ねぇ、だいじょ……っ!?」
声をかけようとしたその時、轟音と強い揺れがこの場にいる者を襲った
「おい、何かマズイぞ!」
「逃げろ!閉じ込められる!」
警報が鳴り響き、名無し達が入ってきた扉が閉まっていく
未だ頭を抱えてうずくまっている少女と名無し以外の者は慌てて脱出する
「……はっ?」
「気がついた?大丈夫?」
「え?あんたは……?」
「私は…って、それより逃げないと!」
「あ、ちょっと!待って、待ってよ!!」
ようやく気がついた少女の手を引いて名無しは走りだした
しかし扉はもう半分以上閉まりかかっていて二人がいる場所は扉から離れた所だった
「ちょっと、ゴメンね!」
「へっ?…うわっ!」
まだ回復したばかりであまり早く走れていない少女に、このままでは間に合わないと思った名無しは少女を横抱きにしてありったけの力で走った
……が、あともう少しという所で扉は閉ざされてしまった