Book.

□ラストピース
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「赤は主人公の色なんだよ」

やけにはっきりとした口調でダンテは言った。

「青は主人公じゃない」

まるで俺へのあてつけのようなセリフに腹が立った。

つい先ほど、俺が「赤は目に毒だ」と言った一言が奴の耳についたらしい。やけに真面目な顔で、ズンズンと俺の目の前に来る。

珍しく寄せられた眉間が皺を作っていて、いつも険しい顔をしている鏡に写った自分を見ている気分だった。

いつも上半身裸でいるくせに、風邪をひいたところを見たことがないのは、ただ、自分たちが半魔だからか、それとも奴が馬鹿だからか。いずれにせよ、今日はやけに顔が赤い。何よりも、おとなしい。


「やけに大人しいな。」

「は?いつも通りだろ。」

いつも通り。いつもは俺が喧嘩腰で話に対応するのに対してダンテは、和解しようと、俺を怒らせまいと、当たり障りのない話題を持ち出してくるのだが、今日はどうやら違うらしい。


それに気づけぬほど、俺は馬鹿じゃない。

「寝ていろ」

「嫌だね」

「寝ていろ」

嫌々と駄々をこねる子供のように首をふる。


仕方が無い、無理やりにでも連れていくか。
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