妖忍参上!

□手紙
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雨降り小僧は土産を受け取ると顔中を使って笑った。四季はその顔を見ることが好きであり、その為事あるごとに土産なり色々なものを買い与えた。

『春代は厨か?』

雨「はい。一刻程前からお客様が見えましたので夕餉の準備に追われているかと。何か御用ですか?」

『いや。大した用ではないが、仕事が一段落したら部屋に来てくれと伝えておいてくれるか?』

雨「畏まりました。嗚呼、そういえば四季様にお手紙が届いています。」

『手紙・・?』

雨「はい。”忍術学園 学園長様”からです。」

雨降り小僧は懐から一通の手紙を四季に差し出した。四季はそれを見ると一瞬目を細めたが、直ぐに元の顔に戻した。

『ほぉ。あの”狸”が手紙をねぇ。』

雨「手紙の返事は早急にと申しておりました。」

『ん。分かった。俺は部屋に戻る。他に何かあるか?』

雨「いいえ。お伝えする事は以上でございます。では、直ぐにお部屋にお茶をお持ちいたしますね。」

『ああ。分かった。』

思えばこの手紙からあの事件は始まっていたのかも知れない。だが、この時はそんな事は微塵も感じることはなくなんとなくこの先は退屈しなくて済みそうだという思いしかなかった。
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