妖忍参上!
□買い物
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そのままぶらぶらと町を見ていると目の前から子供が三人、仲良さげに歩いてきた。
「おうどん美味しかったねー!」
「味も値段も文句なしだったな!」
「今度みんなで食べにこよう!」
「「さんせーい!!」
眼鏡をかけた優しそうな男の子、ふっくらとした男の子、釣り目の髪の長い男の子が他愛もない話をしながら四季の横を通り過ぎた。
『(可愛らしいなぁ。おいしいうどんか・・どれ、食べてみるか。)』
興味の湧いた四季は少年達から匂った匂いを頼りに歩き始めた。
『おお、この店か。』
「いらっしゃいまし!」
『狐うどんを一つ』
「は、はい!ただ今!」
店に入るなり看板娘さんを一目惚れさせるという技を繰り出した四季は気にすることもなくうどんを注文した。
「お、お待ちどうさまです!狐うどんになります!」
『ありがとう。うまそうだ。』
「っー!!!////」
目を細めて綺麗に笑う四季を真っ向から見た看板娘さんは顔を真っ赤にして逃げて行った。
『(ホントにうまそうだ。・・うん。コシがあって喉越しもいい、何より出汁がきいている。)この味でこの値段か。』
思いのほかうどんが美味しかった事に満足した四季はゆるりと口元を上げた。
『ご馳走様。代金はここに置いておく。』
机にうどん代を置き店から出ていく四季に後ろから店主がお礼を言った。
『うまかった。』
暖簾を左手で上げ右から後ろを向くと四季は目を細めて笑った。
その微笑に店にいた全員が息をするのを忘れたかのように四季を見つめていた。