妖忍参上!

□買い物
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ざくざくざく
高い塀に囲まれた屋敷から一歩外に出ると赤い鳥居に囲まれた階段が下へ下へと続いている。辺りは霧が出ており一歩先も見えない位だ。

『(今日の客は大人しければいいがな。最近は約束も守れないモノが多すぎる。)』

四季達が住んでいる屋敷は「妖亭」と呼ばれる妖怪専門の料亭だ。営業時間はもっぱら夜。大抵の妖怪は夜に活動するからだ。
妖怪ともなれば様々な種類があり中には人間を食べるモノも居る。

四季はそんな料亭の主だ。詰まる所四季も妖怪という訳だ。

『お、着いたか。』

階段は山の途中までしかなくそこからは道なき道を進むしかない。
しかも、町の人間に山を下りてきた"と思われてはいけないので町の入口まで行かなくてはならない。

『ふむ。前に来た時より人が増えたか?』

四季は顎に手を当てながら呟いた。

『まぁ、五十年も前じゃ変わるものもあるか。』

うん。と四季は一人で納得し町の中をぶらぶらと歩き始めた。

町には活気が溢れており皆が笑顔で居る。
一目見ただけでも良い町というのが分かる。そんな四季はぶらぶらと町中を歩いていた。

『(・・何か視線が痛いな。)』

四季の今の格好は深い蒼の生地に袖口には白で水面が描かれておりそこから伸びる様にこれまた白で蔓と蓮の花が描かれているのだ。そして、顔はすっとした切れ目と鼻筋。髪は艶があり歩くたびにサラサラと揺れる。
一言でいえば美丈夫。

『(もしや山から下りて来たのがバレたか?)』

ただし、本人に自覚なし。
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