短編
□彼は男前
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最近、雷蔵がやたらとキスをする。
まあ、私としてはめちゃくちゃ嬉しいし気持ちいいし雷蔵の可愛い顔をガン見できるし全くと言っていい程嫌じゃない。(むしろもっとして下さい!!)
今だってそうだ。こんな風に真昼間から部屋でキスをしてくる。
雷「ん。三郎、もっと・・。」
三「・・雷蔵。キス好きだよね。」
雷「へっ?」
三「前はこんな風にしてこなかったのに。」
雷「ん〜。そうかなぁ」
三「うん。私からの方が多かった。」
雷「そうだったっけ?でも、キスは好きだよ。」
そう言ってまたキスをする。今日は何時にもまして多いな。まぁ可愛いから許すけど。
三「はっ。雷蔵、これ以上すると止まんない・・。」
雷「ん。はぁっ。さぶろう、いいよ。やめないで。」
何この子!?天使!!やめないでとかちょマジで?!いいの?!
キスをしたまま雷蔵を押し倒して、そのまま首筋に吸い付く。
雷「あっ!三郎、キスやめないで・・・っ。」
三「(・・今なら死んでもいい)・・・してもいいけど雷蔵がキスが好きな理由を教えてくれたらね。」
雷蔵が可愛いことを連発するから脳内が大変な事になっている。でも、それを雷蔵に悟られればかっこ悪いので少し意地悪をして余裕があるように見せる。ポーカーフェイスは得意中の得意だ。
雷「〜っいじわる!」
三「意地悪で結構〜。真っ赤になっちゃって雷蔵ってば可愛い〜。ねぇ、理由教えて?」
キスをしてくれない事に対してかはたまた、理由を聞いた事に対してかは知らないが顔を真っ赤にして睨んでくる。そんな事をしても煽るだけだし、とても可愛い。本当だったらこのまま頂きたいところだ。が、キスが好きな理由も気になるので我慢する。私って偉い。
雷「〜っ、だって、お前の顔の中で唯一触れられる所だろ!」
三「へ?」
驚いた。まさかそんな答えが返ってくるとは。確かに、変装していない所といえば目や唇だけだ。眼球は直接は触れないが唇は触れる。
雷「僕はお前の素顔を見たことはないし、これからも見るつもりはない。でも、その中でも僕が触れてもいい所はそこだけだろ?僕の顔の時も『鉢屋三郎』だけど、そうでない素のお前も『鉢屋三郎』だろ。だから、僕はお前の全てが好きなんだ。」
三「雷蔵・・・。」
雷蔵がそんな事を考えているなんて思わなかった。別に雷蔵が見たいと望むなら素顔位見せるし、なんでもする気でいた。でも、嗚呼、なんて愛おしいのだろう。
三「雷蔵、キス、してもいい?」
雷「・・うん。三郎、して。」
甘く蕩けるこの時間を幸福といわずに何と呼べばよいのだろう。