妖忍参上!
□日常
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?「四季様―。四季様―?どこにお出でですか?」
十になったばかり位の幼い男の子が水色の着物を揺らしながら屋敷内を駆け回っている。先ほどから呼びかけている「四季様」という人物にはあえていないようだ。
?「四季様―早くしないと朝ごはんなくなっちゃいますよー!!」
お腹すきました。と小さく呟き溜息をついた。
『ほお、では朝餉に行くか。』
?「?!四季様!」
突然真後ろに青年が立っていた。「四季様」とは青年の事だったらしい。
『ん?どうした雨降り小僧?』
男の子は『雨降り小僧』という。名前の通り人間ではない。妖怪だ。
因みに雨降り小僧とは、雨が大好きな子供の妖怪の事だ。
雨「っどうした?じゃありませんよ!!何で起こしに行けば布団がからなんですか!?どこに行ってたんですか!?しっかり起こしに行くまで部屋に居てくださいとあれ程っ!!」
『あーすまん。』
雨「すまんじゃありません!!すまんじゃ!この屋敷の当主ならそれらしくして頂かないと!」
傍からみれば大人が子供に説教されているという何とも間抜けな図だ。しかし四季は慣れているように気にしてはいないようだ。
『小僧の言いたい事は分かったが、そろそろ朝餉にするぞ、春代や猫又達が腹をすかしている頃だからな。』
飄々とさして反省する様子もなくそういってのけた自分の主にとうとう爆発した。
雨「〜っあんたのせいでしょうがー!!!!」
雨降り小僧の叫び声は屋敷中にひびいたそうな。