小さな勇気(進撃)
□3話
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「・・・ん・・・」
どうやらあの後リズは眠ってしまっていたらしい。
起き上がって周りを見渡すがシェリーは見当たらない。
「・・シェリー、さん・・・?」
名を呼んで見るが返事はない。
リズは不安になってベットから腰をおろし、外に出ようとした。
しかし、よくみれば、ここはさっきの部屋とは違っていた。
ますます不安になったリズはドアノブに手をかけて外に出ようと思った時、
ーガチャ
ードンッッ
前からドアを開けて入ってきた人にぶつかってしまった。
「おや?リズちゃん、お目覚めかい?」
30歳位の女性が優しい声で微笑みかけてきた。
「あの・・・何故私の名前を?」
悪い人ではないのだろうが不安そうにリズは聞いた。
「あぁ、そうか。まだいってなかったか、私はシェリーの母のハナだよ。よろしくね。」
シェリーの母ーハナは微笑む。
「ここは・・?」
リズが問うとハナは
「ここはウォール・マリア南端シガンシナ区の中央の方だよ。
シェリーがどうしてもあんたをここに住ませたいらしくて頼み込んできたんだよ。」
「え?!」
ハナの言葉にリズは驚く。
「本当はあの子も一緒にすみたかったらしいけど、あそこは危ないからって、うちに連れてきたんだ、あんた住むところないんだろう?こんな家でいいならゆっくりして行きな。」
ハナとシェリーの優しさがリズの心に染みる。気付けばまた、目に涙が溜まっていた。
「あ、りがとう、ございます・・・っ」
「ははっ、全く泣き虫だねぇ、良いんだよ。気にしないで」
ハナは頭をわしゃわしゃと撫でてくれた。
ーガチャッ
「あっ、リズ起きてたんだねっ!お母さんの紹介はもう終わったみたいだねっ!下にお父さんいるから!行こっ」
シェリーが部屋に入ってきて、リズを下にいこうと急かす。
「あんた、リズ疲れてるんだからそう急かさなくてもいいだろう?」
「えーっ!でも私お腹空いちゃったし、お母さんのご飯久しぶりだから早く食べたいの!!」
「まったく、あんたは何歳だい?言ってることがガキじゃないかい、1人ぐらししてちょっとは成長したと思ったのに、がっかりだわ。」
「な、なにをー!!」
二人のやり取りにリズは思わず笑みがこぼれた。
「二人とも面白いです。そして、似てますね、」
リズが言うと、シェリーが
「ま、家族だからね・・」
と照れ臭そうに言った。
ーー家族、か
その言葉は何故かリズには酷なものに聞こえた。
ーー兄さん、今頃なにを・・・
「リズ!さあ、いこう!」
考え事はシェリーの声で中断された。
「はいっ。」
リズは明るく答えた。