俺と私の小さな初恋
□熱が収まらない
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「中学ってどこに通ってたの?」
「四天宝寺ちゅー学校や」
「彼氏とかいたの?」
「ううん、そんなんは居らへんで?」
「ええ!?ウソー!!?」
「じゃあ、告白とはどうだったの!?」
「ああ…それなりはあったんやけど…部活に集中したかったてのもあるんやけど、あんまりタイプやなかったりして断ってたんや」
「ってことは付き合ったことってないの!?」
「そう……なるんやろうな…」
「ウソ!?もったいない!!」
ホームルームが終われば彼女はクラスの女子に囲まれて質問の嵐の中にいた。他のクラスにも話が回ったのかクラスの外、廊下にはかなりの数の他クラスの生徒がいる。
「それじゃぁ、好きなタイプとかに拘る感じ?」
「身長とか髪型とか…趣味とか!」
「んー、特に拘るとかはないんやけど…あー、でもテニスやっとる人やないと嫌やな…」
テニス…?
質問していたクラスの女子も「どうして?」と聞き彼女が答える前にチャイムがなった。クラスの女子達は残念そうな顔をしていた。
が、よくよく考えれば俺は今ピンチだった。隣の彼女はまだ教科書を受け取っていない。挙句席は窓側で隣の席といわれれば俺しかいない。
そのため、教科書が落ちないように席をくっつけて授業を受けるということになる。本当に心臓がうるさくて死ぬんじゃないだろうかってぐらい。
「堪忍な?」
そういう彼女は少し申し訳なさそうにそういった。それもそうだ。転校してきて教科書がなくて見せてもらうのがいまだに名前も分からないようなクラスメイトの男子なんだ。
一時間目の授業は現代文。基本的に教科担当の教師が読み上げてるから俺達生徒はそれを目で追っていくだけ。
静まり返った教室。淡々と読み上げる先生の声だけが教室に響く。隣の彼女を見れば必死に文を追っている。
日焼けなんてした事がないんじゃないかと思うくらいの白い肌。ほんの少しの力で折れてしまいそうな腕。今まで見てきた誰よりも長いかなとおもうくらいのまつげ。
周りから見れば普通にキレイな女性としか言われないような彼女。
それでも俺にはどこか人を安心させるような不思議な雰囲気を纏っていた彼女に惹かれた。
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